外交青書2020年版の内容を読み解く!「台湾は極めて重要なパートナー」に前進、「韓国は重要な隣国」が復活…に込められた日本の狙いと課題は?

ロシア
北方領土

令和二年(2020年)版の外交青書 の内容が公表された。19日の閣議で、茂木外相から報告された。

外交青書は、日本が周辺国と今後どのような外構を展開していくか、時の政権がどんなスタンスでいるのか、また外務省のチャイナ閥などの内憂がどの程度勢力を保っているか、などを読み解くことができる。

今年の中身で気になるのは、台湾、インド、アメリカなどの友好国との関係性、またチャイナ、ロシア、南北朝鮮などの敵対周辺諸国との関係性の表現だ。

台湾について

中国の反対で途絶えている台湾の世界保健機関(WHO)年次総会へのオブザーバー参加について「一貫して支持してきている」と明記した。これまでの安倍首相の国会答弁や、つい先日のWHO総会の軋轢を踏まえると、この問題について日本の姿勢は一貫している。

台湾を説明する表現としては日本にとって「極めて重要なパートナー」と位置づけた。昨年版の「重要なパートナー」から強めた。また、昨年は半ページ程度だった台湾関連の記述を1ページ分に増やした。「日台双方の市民感情は総じて良好」と評価し、相互の人的往来が「密接である」とも指摘した。この姿勢は、実際の日台関係や、両国の一般国民間の感情なども考慮するとしごく順当な姿勢であり、一歩前進を評価したい。

ただ、東アジアでチャイナの覇権と対峙し、共に平和な自由主義社会を護っていくパートナーとして、もう少し踏み込んだ姿勢も欲しい。すなわち、台湾は「オブザーバー」としてではなく、国としての正式な参加が望ましい。

チャイナについて

チャイナに関する記述には首を傾げざるを得ないところがある。台湾の章でチャイナの意向に逆らったことに気が引けたのか、日支関係は従来どおり「最も重要な二国間関係の一つ」という媚支的な表現のままで配慮を示した。安倍晋三首相と習近平国家主席の往来が実現した昨年は「『日中新時代』に向けて日中関係を新たな段階へ押し上げていく一年となった」と振り返った。この「日中関係を新たな段階へ」という表現、外務省のお気に入りのようで、安倍首相にも何度か言わせていたが、現在の日支関係がそのような平和な状態にあるとはとても思えない。

さらには、新型コロナウイルス感染症の影響で延期された習近平(しゅうきんぺい)国家主席の国賓来日を再調整するとした上で「新時代の成熟した日中関係を構築していく」としているにあたっては、もはや正気の沙汰ではない

日本に核ミサイルの照準を合わせ、30日連続で日本の公海、尖閣周辺を領海侵犯している軍事覇権国家に対して、コロナウイルスで世界に惨禍を撒き散らした非道国家に対して、「新たな段階」だの「正常な関係」だのといった世迷い言がふさわしいものか、その首領が果たして国賓として迎え、畏くも天皇陛下に拝謁できるような人間かどうか。外務省には再興と猛省と、チャイナ閥の排除とを促したい。

南北朝鮮について

北朝鮮をめぐっては、日本人の拉致問題解決を「最重要課題」と位置づけ、安倍首相が昨年5月に「条件を付けずに金正恩(きん・しょうおん)朝鮮労働党委員長と会い、率直に話をしたい」と表明したことを盛り込んだ。度重なる弾道ミサイル発射については、「日本のみならず、国際社会に対する深刻な挑戦」と非難した。金正恩の影武者の話題については、当然のごとく触れられなかったようだ。

南朝鮮については、昨年度版で削除された「重要な隣国」との表現を復活させたのが気になると言えば気になる。しかし徴用工問題に加え、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告、韓国国会議員の竹島(島根県隠岐の島町)への上陸などを挙げ、「韓国側による否定的な動き」が続き、「日韓関係は厳しい状況」と結んでいる。竹島については、「韓国が国際法上何ら根拠がないまま、竹島を不法占拠し続けてきている」と従来どおり明記されている。

これはおそらく、「重要な隣国であるはずなのに、こういう横暴や敵対行動を取るから改善は無理ですね、あちらのせいですね」というロジックを展開しているものだろう。昨年に続き、「未来志向の新時代へと発展させていく」との記述は見送られたこともそれを示している。

ロシアについて

昨年版で削除していた北方領土の法的立場に関する言及が復活し、「わが国が主権を有する島々」と表現されている(一昨年版では「北方四島は日本に帰属する」)。前回の記述見送りに反発した国内保守層への配慮や、日ロ平和条約締結交渉の停滞を背景に再び明記したのではないかとする見方があるが、こんな体たらくで領土交渉などうまくいくはずもない。相手と領土の貴族について話し合うから、領土について公に主張するのはやめておこう、どうせ交渉が割れたから復活させよう。そんなのはただの負け犬の遠吠えではないか。

領土については、常に一貫した姿勢が必要だ。相手国にどう思われるかではなく、日本の領土が事実として日本に属していることを、主張し続けなくてはならない。そこがゆらいでいるから、未だ南朝鮮から竹島も取り返せないし、チャイナから尖閣は脅かされているし、それを横目で見ているロシアには舐められて端から相手にされないのではないか。

(文・櫻木)

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コメント、ネットの反応

  1. >韓国は重要な隣国
    ”重要な”といっても、ポジティブな意味とは限るまい。
    同時に「国際法を守らん国」ってしっかり書かれてるんだよなあ。

  2. 外交の成り立たない相手とは、外務省の矜持にかけて、書くことが出来ないんだろうけど、
    もう気にすることないんじゃないかな、だって韓国の外交が成り立ってないのは世界全部に対してだからさ

  3. 日韓関係など、どうとでもなるから放っておいてかまわないが、
    >中国とは習近平国家主席の国賓来日を再調整し「新時代の成熟した日中関係を構築していく」と表明
    これは、あかんのではないだろうか?
    米中衝突が必然となった今、日米同盟国を蔑ろにする愚行とならないだろうか

  4. 確かに重要な隣国だよな。
    昨年とは全く違う。
    火薬庫状態の中国との間にある敵に回ればありがたいが味方になると目障りな重要国だ。

  5. 台湾は日本にとって「極めて重要なパートナー」と位置づけた。
    19年版の「重要なパートナー」から強めた。

    今回の外交青書は昨年は1ページの半分程度だった台湾に関する記述を
    1ページ分に増やした。「日台双方の市民感情は総じて良好」と評価し、
    相互の人的往来が「密接である」とも指摘した。

    日本の令和2年版外交青書で、竹島(島根県隠岐の島町)が日本固有の領土だと
    表記されていることについて、韓国外務省は19日、
    「歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土である独島
    (トクト=竹島の韓国での名称)に対する不当な領有権主張を
    繰り返したことに強く抗議し、即刻撤回を求める」とする報道官の論評を発表した。

    また、同省の金丁漢(キム・ジョンハン)アジア太平洋局長は
    日本大使館の相馬弘尚総括公使を呼び、抗議した。

    青書は、韓国が「国際法上何ら根拠がないまま、
    竹島を不法占拠し続けてきている」と指摘している。

  6. 台湾が「極めて重要なパートナー」になり
    中国は「最も重要な二国間関係の一つ」と記されている中で

    「交際法違反」だの「非建設的」だの書かれている「重要な隣国」が韓国

  7. これらなくして関係改善なんてない

    ・レーダー照射をしたことを謝罪する。
    ・戦地娼婦、いわゆる慰安婦像を建てていることを謝罪しウィーン条約を履行する。
    ・戦地娼婦、いわゆる慰安婦合意を破棄したことを謝罪し履行する。(この合意を主導した売春婦は自分は売春婦ではないと主張し始めた)
    ・基本条約付随協約日韓請求権協定違反の自称徴用工差し押さえをしたことを謝罪し企業に補償する。
    ・基本条約付随協約日韓請求権協定に基づく協議を無視し昨年7月に基本条約を決定的に踏みにじったことを謝罪する。
    ・基本条約付随協約を履行し、窃盗で手に入れた仏像を返却し謝罪する。
    ・昨年8月の武力行使を謝罪し、侵略占領中の竹島を返還する。8人の日本人を殺害したことも謝罪する。
    ・基本条約付随協約違反の違法操業を謝罪する。
    ・日本のフッ化水素を悪用して横流しをしていたことを謝罪する。国際社会にも謝罪する。
    ・国連決議違反をおこなって北朝鮮に瀬取りしたことを謝罪する。
    ・陛下を侮辱したことを公式に謝罪する。旭日旗を凌辱したことを謝罪し自衛隊を入港拒否したことを謝罪する
    ・日本領事館に不法侵入した襲撃犯を実質無罪にしたことを謝罪する。

  8. 日本のリスクという点でみれば重要だよ。
    韓国は早めに滅ぼすべき国だ。
    条約も対話も意味のない敵意満載かつ正義に酔ってて罪悪感皆無で憎悪犯罪を
    国民と政府が日本に仕掛けて来るのだから、こんな国とは共存関係なんて不可能だ。

    友好を口にする奴は殆どが日本が隷属しろ養分になれと心根から屈服する事を
    正しい秩序だと考えている。論外だ。

  9. 隣国という「情」は捨て去り、特別扱いは止めて国際社会と共に歩むのが日本の道。
    国際法を守らないなら、それ相応の対応を下すだけだ。

  10. テーマ :日本が明治維新以後、どのように苦心して国際社会に文明国として認められたか?そうした苦労を韓国は全く経験していない!!

    https://japanese.joins.com/JArticle/266005
    【コラム】約束の差を理解してこそ韓日葛藤は解消
    中央日報日本語版、2020.05.16 10:50

    余りにもおかしい、韓国人の認識。
    日本が明治維新以後、どのように苦心して国際社会に文明国として認められたか?
    そうした苦労を韓国人が全く経験していないことを露呈した言説である!!

    明治国家における「文明」と国際法
    https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/12129/1/ronso1150100190.pdf

    日本人が明治維新以後、どのように苦心して国際社会に文明人として認められたか?
    最初、日本人は欧米諸国から文明人として認められなかった。その為、苦心して欧米人の示す文化的規範を身に付けたのである。
    そうした苦労を、韓国人は全く経験しないまま、戦後、タナボタ式に国を持った。
    いわば、韓国は日本人が苦労して払拭した「白人以外は未開人」という常識を覆して成し遂げた成果について、単にタダ乗りして来たフリーライダーに過ぎないのだ。
    要するに、韓国人たちは文明人としての訓練を受けることなく育った、今も未開人のままなのである。
    その事を、韓国人は痛感すべきだ!!
    約束の守れない人達を、文明人とは言えないからだ。

  11. オバマは中国共産党に媚びる形で安部の靖国参拝に猛抗議した訳ですから、安部が中国共産党との関係を「日中関係を新たな段階へ」と考えているのなら、先ず安部が靖国神社へ参拝し、その後に、習を国賓で迎えるなら迎えるべきです。
    そんな事も出来ずに居て、避けてばかりでは、真の友好関係など築ける筈も無い。
    まあ、安部は首相の器じゃ無かったって事で終わりますね。

記者プロフィール

櫻木

在野のコラムニスト。1975年生まれ。大東亜戦争の戦地の取材をライフワークとしており、台湾やインドネシアとの親交が深い。

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