相次ぐ高齢ドライバーの重大事故 政府は自主返納に任せず定年制や自動運転限定免許の導入を急げ

時事直言

またも高齢ドライバーによる、重大死亡事故が発生してしまった。今回の事故は、福岡市の交差点で発生した車6台が絡む多重衝突事故で、高齢男性の運転するワゴン車が猛スピードで交差点に突入し、次々と対向車や右折待ちの車に衝突して、最後は歩道に乗り上げてクラッシュするという壮絶な事故だった。運転していた男性(81)と同乗の妻(76)が死亡したほか、歩行者の男性が骨盤骨折の重症を負っている。

交差点進入前に81歳男性、意識喪失の可能性も 福岡多重事故 - 毎日新聞
 福岡市早良区百道の市道交差点付近で4日夜に起きた車6台が絡む多重衝突事故で、交差点に突っ込んだワゴン車を運転していた高齢男性が、周囲に運転免許証の返納を相談していたことが判明した。ワゴン車はアクセルを踏み続けたまま次々と対向車や右折待ちの車に衝突しており、福岡県警は亡くなったワゴン車の男性が交差点

この事故については、動画サイトに、交差点にいた他の車のドライビングレコーダーが撮影した動画がアップロードされている

そのあまりに異常なスピードやブレーキ痕がないことから、運転者が事故直前から意識を失っていたのではないか、という説もある。ハンドル操作はしているらしいことから、例の「上級国民」飯塚幸三容疑者の事件のように、アクセルとブレーキを踏み間違えてベタ踏みでかっ飛ばしたのではないか、という見方もある。

男性も同乗者もが死亡しているため、真相は不明だ。しかし実はどちらでも構わない。どちらのケースでも、やはり高齢ドライバーによる運転が、極めて危険で、重大な事故を起こす可能性が高い、ということだ。今でも75歳を超えたドライバーには、認知機能検査が課されてはいる。しかし、事故を起こす原因は認知症だけではない。反射神経、認知能力や視力などの衰えが事故を招くこともあれば、発作による意識喪失が原因となることもあるだろう。いずれにしても、自動車運転は、わずかな判断の遅れや、一瞬の操作ミスが、死に直結する重大な事故につながることもある。

あえて付言すれば、現在の自動車は人類にとってある種のオーバーテクノロジーで、80歳以上の人間が安全に運転できるように設計されていない。

自主返納任せでは間に合わない

高齢ドライバーによる事故は、全国で相次いでいる。

折しも6月6日には、全国で他に2件の高齢ドライバーによる死傷事故が発生している。

無人の車がバック、高齢女性はねられ死亡 70歳女を逮捕
6日午後0時40分ごろ、奈良県生駒市辻町のマンション駐車場で、無人の乗用車が突然後退し、住人の職業不詳、田村サチ子さん(74)をはねた。田村さんは搬送先の病院で…
「ブレーキ踏み間違え」 76歳男性が駐車場で暴走 1人けが
6日午後0時55分ごろ、大阪市平野区平野北の商業施設「イオンタウン平野」の駐車場で、乗用車が精算機の停止バーを突き破り、交通整理をしていたとみられる男性と接触。…

掲題事故の男性も、高齢ドライバーによる事故が話題になる度に「いつかは返納した方がいいんだろうな」と話し、数日前にも口にしていたというが、遅すぎる。80歳にもなって何を言っているのだ。老い先の短い高齢ドライバーが、前途のある若者や幼児の命を次々と奪い、街を破壊し、自分の命も名誉も失ってしまう事故の悲惨さと国家的損失を、日本人は政府も国民ももっと真剣に喫緊の課題として考えるべきだろう。

自主返納だけに任せていては間に合わない。ある一定以上の(最低80歳)を超えたら、運転年齢の定年として、免許の交付の停止など強制力のある改正をするべきだ。18歳に満たない少年は、判断力や運動神経が未熟なので、自動車を運転することができない。ならば逆に、判断力も運動神経もそれ以下に衰えている老人が、自動車を運転できる道理はない

またもう少し前の年齢でも、AT限定、MT限定などの種別に、「自動ブレーキ搭載車限定」などを追加して、制限を設けることを検討してはどうか。完全自動運転技術などの先端テクノロジーに対して国が補助金を出して開発を急ぐことも重要だが、技術の完成を待っているうちにも高齢化はどんどん進み、事故は発生し続ける。免許の返納(免停)後は、タクシーチケットの交付やネットスーパーの利用促進など、ソフト面の支援も欠かせない。

そうした制度が整うまでは、私達が両親や親戚など、近親の高齢ドライバーに対して、返納を呼びかけていくしかないだろう。

(文・櫻木)

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コメント、ネットの反応

  1. あのスピードは確かに異常ですわな

  2. 返納の相談は免罪符じゃない
    酒飲みの禁酒宣言と同じぐらい意味がない

  3. そもそもなんで80代に免許更新させんだよ
    警察の責任もかなりあるだろ

  4. 暴走途中、追い抜いて元の車線に戻るドライブレコーダー映像あった
    それ考えると、少なくとも最初の右折車との追突から暴走開始は意識あったしハンドル操作してる

  5. いつかは返納とか悠長過ぎるわ80になってんのに
    いつかじゃないって。もう遅いくらいだよ。
    結果大迷惑かけて妻も道連れで死んだんだぞ

  6. 右折中の車両を避けられなくなるまでは、適度にハンドル切ったりしてたから、意識喪失などしてない。
    年寄り特有の、自分の非を認めようとしない頑固さが原因だろう。
    ブレーキを踏んでるつもりで居るから、意固地になってベタ踏みしてる。
    ものすごいエンジン音だろうに、それが聞こえていても、そのことを理解することは自分の誤りを認めることになるから
    絶対に認めない。
    車が勝手に暴走してブレーキが効かなくなってると思い込んでる。
    脳の情報処理能力に欠陥があると、人の言うことに聞く耳を持たなくなり、思い込みだけで暴走してしまうから、その状態で車に乗ってれば、車まで暴走するのも当たり前。

  7. クルマにも、助手席に座ってる人が
    操作できる、緊急停止ボタンが必要
    ではないですか。
    大型工作機械なんかに、付いてる
    赤い緊急停止のボタンみたいなの。

    • バイクやレーシングカー、ラリーカーにはしっかりその手のスイッチ(キルスイッチ)がありますね。

  8. 私が以前脳卒中をやって、なんとか社会復帰もできて運転免許の更新をしようとしたときに、その日も沢山の更新者がいたのだが、脳卒中の病歴があったと自己申告したのが私只一人だった。
    私自身は診断書を改めて病院で作ってもらって提出して無事に更新ができたのだが、病歴などを自己申告に頼る現在の免許更新には大いに問題があると思います。

    • 勇気ある申告、立派です。
      正直者が馬鹿を見るような制度はいかんですなぁ。

記者プロフィール

櫻木

在野のコラムニスト。1975年生まれ。大東亜戦争の戦地の取材をライフワークとしており、台湾やインドネシアとの親交が深い。

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