日本の原爆平和教育の「過ち」とゲバラの怒り

アメリカ

先日、レバノンで大規模な爆発事故が起きた。犠牲者には哀悼の意を表するが、知事が「ヒロシマ・ナガサキのようだ」と嘆いたのには、憤りを覚えた。原爆は、あんなものじゃない。自分のところの火薬庫の管理が杜撰で起きたただの爆発と、核攻撃による被害を一緒にされては困る。

広島、長崎に原爆が投下されてから、75年の月日が経った。この核攻撃により当時の広島市の人口35万人のうち9万から16万6千人が、長崎市の人口24万人のうち約7万4千人が死亡したとされる。これこそがアメリカによる、人道上の罪であり、許しがたい戦争犯罪である。

アメリカが日本の2都市に原爆を投下した理由は、「本土決戦を避け、アメリカ軍兵士の犠牲を少なくし、戦争を早期集結させるため」と未だに信じている人もいる。アメリカの公教育では未だにこう教えているが、日本人すら信じているようでは、心配になる。

ゲバラの怒り

キューバの革命志士、チェ・ゲバラが、戦後に日本が復興しつつある1959年に、日本を訪れたことがあった。ゲバラら一行は、ゲバラの強い要望で広島を訪れ、原爆資料館を約1時間かけてじっくりと見学したという。

ゲバラは館内のさまざまな原爆被害の陳列品を見る中で、それまで無口だったゲバラが、
不意に通訳担当の広島県庁職員の見口健蔵氏にと英語で問いかけたことがあった。

「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあわされて、腹が立たないのか」

ゲバラが原爆の惨禍に憤りをみせた瞬間だった。三好徹氏の「チェ・ゲバラ伝 増補版 」(文春文庫)の中で、
見口氏は「眼がじつに澄んでいる人だったことが印象的です。そのことをいわれたときも、
ぎくっとしたことを覚えています」と回想している。

「平和のために断固として闘うには、この地を訪れるのが良い」
広島訪問時、ゲバラは妻のアレイダに宛てて絵はがきを送っている。

「きみたち日本人は腹が立たないのか」チェ・ゲバラは、広島の原爆資料館で憤った。
妻に宛てた絵はがきで「平和のために断固として闘うには、この地を訪れるのが良い」と広島訪問を勧めていた。

広島の原爆慰霊碑には、「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻まれている。実に唾棄すべき惰弱ではないか。

アメリカが原爆を投下した真の理由は、人種的偏見と真珠湾攻撃に対する復讐と、原爆の影響を計る人体実験、そして大量破壊兵器としてソ連を牽制し、戦後の世界政治を牛耳ろうという野心である。となりの朝鮮国のように、でまかせの「戦争犯罪」で謝罪だ賠償だと言い続けるつもりはないが、このれっきとした戦争犯罪の被害国である日本は、その被害の歴史から目を背けてはならないと思う。このように言うと、「日米同盟の大切なパートナーだから」と言い出す親米保守派もいるが、それはそれ、これはこれだ。

日本の原爆平和教育の「過ち」

日本の原爆教育、平和教育も、「戦争は悲惨です」「日本が間違った戦争をしたからこうなったのです」「だから戦争をしてはいけません」「日本が弱ければ平和なのです」と言い募るのみで、平和に何ら寄与することがない。

本来、子供達にはこう教えなくてはいけないのだ。「原爆投下は、一般市民への大量虐殺で、れっきとした戦争犯罪です」「しかしアメリカは戦勝国なので裁かれません」「日本は敗戦国なのでリンチ裁判を受け、国家をアメリカに改造されました」「負け戦は悲惨です」「ですから、戦争は極力回避できるよう、またもしなっても決して負けないよう、国の力を高めなくてはいけません」と。

そうすれば、唯一の被爆国である日本こそ、二度とそれを繰り返さぬよう、抑止力としての核武装をする資格を持っている、という事実にも、いずれ多くの人が気づくことだろう。

アメリカでの原爆投下をめぐる議論

ロサンゼルス・タイムズは5日、広島、長崎への原爆投下を巡り「米国は核時代の幕を開ける必要はなかった」と題し歴史家らが寄稿した記事を掲載した。トルーマン大統領(当時)が原爆を使わなくとも日本が近く降伏すると認識していたことは証明済みだとし、「日本への核兵器使用を巡る真摯な国民的対話」の必要性を訴えた。日本では「原爆投下前に勝敗は決していた」「原爆投下派が、日本の降伏を遅らせるために、当初あえて天皇条項を降伏条件から削った」というのはほぼ定説になっていると思われるが、アメリカでもこうした動きが近年出てきたことには注目したい。言論の自由の国ゆえなのか、それともアメリカの国力の低下を物語るのか?

(文・櫻木)

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コメント、ネットの反応

  1. 原爆について腹が立つ教育を受けてない

  2. 腹が立たないかあと言ったら嘘になるけど中露と対峙してる状況ではね

  3. まーしょうがないよね~って気持ちが地震、津波などの破滅的災害と共存してきた日本国民にはあるんだよ

  4. ゲバラの疑問ももっともだな

    進駐アメリカの洗脳政策の成果だよ

    その洗脳の結果が、良かったのか悪かったのかは人によるだろうな
    概ね良かったとは思うが

  5. だから桜が大好きなんだよ日本人は
    太古から破滅的災害から逃げずに受け止めてきたから

  6. 腹を立てつつちゃんと現実を見据えた立ち回りをできる政治家が必要
    ただしょうがなかったってのは去勢された猫

  7. 完璧に負けたからな
    アメリカに持ってかれたなら仕方ないが火事場泥棒的に盗った国等は許さん

  8. 団塊の世代はGHQに洗脳教育されてるからな
    今の若い世代は情報が揃ってるからアメリカが悪だとわかるけど、
    団塊の世代は日本が悪いアメリカは正義、ソ連(ロシア)は敵、中国は良い人達と信じてた
    それでアメリカの思い通りに動いて、中国に無料で技術を渡してた

  9. マッカーサーが言ってた「民族に年齢があるとすればドイツ人は成人だが日本人は子供だ」っていうのは的を射てるよな
    当時の日本人は国の奴隷であって自分で考える頭がなかった
    今もまだそれが抜けきってない

  10. >今もまだそれが抜けきってない

    いや、昔より今の日本人の方が精神年齢は低いから
    アメリカを親の様に慕い国防を任せてんだぜ?
    コレ完全にガキだよ
    こんな国他にない

  11. 日本人はあきらめがいいから
    戦争だから仕方ないって

  12. 民間人の被害目線でしか戦争を知らないから
    そこを踏みにじる様な発言には憤りを感じるけどな

  13. この辺の憤りという感覚は、先日亡くなった李登輝さんの
    日本を侵略国家と教育通り受け入れて恥じ入るなという言葉と
    根っこ同じに感じるんだよな。

    思想が右であれ、左であれ
    何されてもしょうがないよ、って思ったらどうなのって話だからな。
    まあ日本の左ってのは大分中国に歪められちゃってるけど。

  14. 腹が立たない日本人なんていないんじゃない?
    ただ、それと安全保障は別の問題だから。
    周囲敵国だらけの日本が生きる道を見つけなきゃならないわけで。
    怒りに身を任せて四六時中発狂なんかしてたら未来は閉ざされる。
    忍耐と蓄積こそが我々の真骨頂である。

  15. 本来はアメリカ批判するべき左翼が中朝韓と一緒になって日本が悪いとやってきたから
    日本人の反骨精神はアメリカの思惑通り壊滅させられてきたからな。
    日本には左翼は育たずに中朝韓の犬であるサヨクやパヨクしかいないというのが
    すべての原因だわな。
    結局は複数の国に蹂躙される敗戦国の末路でしかない。

  16. 理由がソ連への牽制と人体実験
    そのために多数の市民が犠牲になった
    到底受け入れられないよ

  17. 反日教師がやって来たことと反日マスコミの仕業しか浮かばない。日本を否定する売国奴たち

記者プロフィール

櫻木

在野のコラムニスト。1975年生まれ。大東亜戦争の戦地の取材をライフワークとしており、台湾やインドネシアとの親交が深い。

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