未だに全く進展しない日本人拉致問題 どうすれば解決するのか? 横田めぐみさんの父・横田滋さん死去に思う

北朝鮮
家族の写真パネルの前に立つ横田滋さん=2015年9月(産経)

昭和52年11月に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(55)(拉致当時13)の父で、拉致被害者家族会初代代表の横田滋氏が5日、87歳で亡くなった。横田氏は、北朝鮮による日本人拉致が明るみに出てから、生涯を娘の救出運動に捧げてきた。当初、日本では社会党や左翼マスコミが「北朝鮮による日本人拉致などというのは、右翼による創作だ」と決めつけ、悲嘆に暮れる被害家族をさらに苦しめていた。問題が明るみに出たのは、北朝鮮工作員・金賢姫による大韓航空機爆破事件がきっかけだった。以来、横田夫妻は街頭での署名活動から講演や首相と会うなど活動を広げ、アメリカなど国際社会にも拉致という北朝鮮の非道な人権侵害問題を提起し、解決に向け奔走された。小欄にて衷心より哀悼の意を表する。

めぐみさんと家族の味わった苦難と絶望に思いを馳せる

北朝鮮による日本人拉致は、人道上も、人権上も、そして国家の主権侵害の観点からも、決して許すことのできない、国家的テロ犯罪である。筆者も子を持つ親として、自分の娘が13歳で北朝鮮に連れ去られ、このような目に遭わされたとしたら、その絶望と怒りは想像を絶する。

「工作員の話によれば、暗い船室に閉じ込められて、何十時間もかけて北朝鮮に渡ったという。13歳の少女がどんなに怖い思いをしたか。船室の壁を爪で引っ掻いて、両手の爪はほとんど剥がれるほど血だらけで、嘔吐物にまみれ、拉致した工作員が目を背けたぐらい酷かったようです」(めぐみさんの同級生、吉田直矢氏・談

生前、「この問題は私達の世代で解決しなくてはならない」と語っていた横田滋氏は、失意のうちになくなった。これで政府が認定する未帰国拉致被害者12人の親世代で存命なのは、横田氏の妻、早紀江さんと、有本恵子さん(60)(拉致当時23)の父、有本明弘氏(91)の2人だけになった。

一向に進展しない拉致問題

横田めぐみさんが拉致されてから42年の月日が流れたが、平成14年に5人が帰国して以降、拉致問題は進展がない。日本政府は「最重要、最優先課題」に位置付け、アメリカと協調して経済制裁を続けて、安倍首相は昨年、北朝鮮の首領、金正恩きんしょうおんと無条件で会談する意向を表明したが、事態が進展する気配はない。

しかし、これをもって「安倍首相は何をしているのか」「解決したいとは口だけか」と批判するのは、少々酷と言える。

なぜなら日本国が、拉致問題を解決するために現在取りうる手段は、以下の3つしかない。

イ. 経済制裁を続けて音を上げるのを待つ
ロ. 国交を結んで「経済協力金」を払って返してもらう
ハ. アメリカに頼んで何とかしてもらう

イ案は、今も継続している方針だが、例えば北朝鮮の体制が崩壊したとして、その混乱の中で拉致被害者の変換ができるかどうかは疑問が残る。

ロ案は、要するに誘拐犯に身代金を払うという話だが、北朝鮮は日本と国交を樹立すれば、「戦時賠償金」がもらえると信じ込んでいる。そもそも日本と北朝鮮の間に戦争をした経緯はなく、戦後も日本の残した莫大なインフラ資産をそのまま接収して使い、日本人を拉致し、日本から吸い上げたパチンコマネーで核兵器まで武装して日本を威嚇する集団に対し、この上なぜ日本人が血税を支払わなければならないのか、という世論の反発が予想される。

ハ案。安倍首相は、昨年、トランプ・金正恩きんしょうおん会談の前にも日本人拉致問題を取り上げてくれるよう働きかけ、実際にトランプ大統領も席上で言及してくれたというが、そこまでである。アメリカが具体的に何かをしてくれることはない。

アメリカなら即座に奪還作戦が進められる

もちろん、アメリカが自国民に被害があった場合は話が別である。アメリカには、国外で自国民が避難、脱出の必要な状況に陥った際、軍が総力を挙げて支援するという法律と、その行動を定めたマニュアル「NEO」(非戦闘員救出活動作戦)が定められている。海外でアメリカ人が人質になった場合、これにそって直ちに奪還作戦が開始される。

日本も在外の自国民を救出するには、その立案が絶対に必要です。相手が武装しているわけですから、当然、そこにはROE(交戦規定)も含まれます」

アメリカの場合、外国で自国民が人質になると、このNEOに沿って奪還作戦が開始される。『最強!特殊部隊スーパーファイル』(竹書房)の著者であるフォトジャーナリストの笹川英夫氏はこう語る。

「事件発生後、直ちに担当地域のCIA情報分析官が招集され、状況分析が進められます。それをもとにCIA長官が大統領に現状を報告すると、ホワイトハウスに各大臣や長官、軍統合幕僚長が集められ、緊急国家安全保障会議が開かれる。ここで人質奪還作戦の発動が決定されます」

「大規模な作戦になると、第75レンジャー部隊、第160特殊作戦航空連隊(ナイトストーカーズ)がサポートし、対テロ作戦の隠密部隊デルタフォースも参加。総勢500名以上による作戦が開始されるのです」(笹川氏・談)

日本にも、特殊部隊はいる。しかしこのような法律やマニュアルの整備どころか、国の交戦権すら否定されている憲法(占領政策基本法)を推し戴いているため、日本は外国で自国民が被害にあっても、手も足も出ないのだ。

国際社会において名誉ある地位とは

日本国憲法(占領政策基本法)は、全文にこう謳う。

「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」

日本の周辺国のどこに、「公正と信義」のある「平和を愛する諸国民」がいるというのか。せいぜい台湾くらいしか見当たらない。

日本が本当に「国際社会において名誉ある地位」を占めたいと思うなら、自国民がテロ国家に拉致されたまま40年も無為に過ごしている現状をまず恥と思うべきだ。そして、そんな現状を打破するためには、この「日本国憲法」という日本と日本人を縛る呪いを破棄して、自分たちの憲法を手にしなくてはならない。

(文・櫻木)

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コメント、ネットの反応

  1. 拉致は北朝鮮の指令で朝鮮総連が手配して1000人以上の日本人を連れ去ったというのに
    日本の政治家たちは何もしていない。自民も含めて国会議員の殆どが代々受け継がれる朝鮮人たちで
    それを支える朝鮮人マスゴミがいる。

  2. ● 北朝鮮工作員集団に繰り返し暴行されていた横田めぐみさん
    「工作員の話によれば、暗い船室に閉じ込められて、何十時間もかけて北朝鮮に渡ったという。13歳の少女がどんなに怖い思いをしたか。船室の壁を爪で引っ掻いて、両手の爪はほとんど剥がれるほど血だらけだった」
    「4名の工作員と2名の乗組員が少女と関係があった」
    (数ヶ月後)少女が妊娠していると聞かされた。

    「お母さん、お母さん」とずっと叫んでいて、出入口や壁などをあちこち引っかき、着いときには、手の爪がはがれそうになって血だらけだったということです。
    これを知った横田早紀江さんは、「本当に吐きそうになりました。しかし涙は出ませんでした。もっと心の奥底から感じたのは、激しい怒りでした。」

    当時TVでも横田早紀江さんはこれについて発言していますので覚えてる方もいるのではないでしょうか。

    この情報によって、めぐみさんのお父様・横田滋さんは家族会(拉致被害者家族連絡会)を結成します。
    各地でも救う会(拉致された日本人を救う会)などが結成され始め、被害者を救済する活動が国民の間で活発になっていきました。

  3. 「北朝鮮政府による横田めぐみさんの拉致報道は極右の捏造だ」と断じていたのが
    福島瑞穂氏、TBS、辻元清美氏、左翼、朝日新聞をはじめとする
    日本のリベラル・左翼・社会主義者・共産主義者及びその系列の政党・マスコミ

  4. 金一族や総連や美濃部含む左翼系首長や在日が一体になって日本人の拉致工作をやったんだよな
    朝鮮民主主義人民共和国って正式名で呼んだり書いたりしないと街宣かけられた時代が有るんだぜ

  5. 選択肢が間違ってるんじゃないの?
    なぜ軍隊を使って奪回作戦という話に飛んでしまうのか
    日本には朝鮮総連があり、結構ランクの高い奴も日本に出入りしている
    外交官特権なんてものはないのだから、いくらでも交渉材料にできる
    要は、政治家の覚悟だけだよ

  6. レバノンが爆発してたし僧兵向けに日本語の駄洒落をやるのが乱数放送だから北朝鮮もわざわざ日本人を拉致してたんだろ
    覚悟は幸福って意味がわかると怖い話だよな
    漢字の変換ミスみたいな駄洒落で物事を曲解して行動する頭AIな誤記ブリ上級国民にとっての覚悟は各語のことだから日本語以外の各語を使わないと外国の誤記ブリAI上級国民ですら日本語の駄洒落でどんな行動をするか決まっているという運命への降服が一般人にばれるってことだったんだろうしな
    ジョジョで外国のキャラが日本語でしか通用しない駄洒落を使ってたのも荒木飛呂彦とかいう誤記ブリAI上級国民が覚悟を持ってリアリティを追及してしまったからなんじゃないの

  7. 通りすがりの者ですが、拉致という無法を行った国に対して、信義を通す日本流のやり方は、通じません。もし、私が、日本国内にいる北朝鮮の高官に会うことができれば、1か月以内に解決する自信があります。日本以外の周辺国(台湾を除く)は、日本のお金及び領土が狙いなんです。
    そんな国に信義を求めても無理なことです。
    もっと、狡猾な戦略をもって臨まなければなりませんが、日本の政治家にはそんな政治家はいませんし、それらをアドバイスする秘書や側近もいません。これでは、拉致問題は永久に解決することはありません。

記者プロフィール

櫻木

在野のコラムニスト。1975年生まれ。大東亜戦争の戦地の取材をライフワークとしており、台湾やインドネシアとの親交が深い。

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