「実行力のあるトップ」が迷走する悲劇… ローソン、PBブランドのデザイン再変更、日本語表記に戻す

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ローソンがプライベートブランド(PB)のデザインを大きく変えて話題になった。店頭に並ぶ約3500点のうち、約700点を占めるPBのイメージ刷新を狙いとして、年内にすべてのPB商品デザインを変える予定とのことだったが、話題になったのは悪い意味での話題だった。

商品写真はなくなり、白地に小さい文字のミニマルデザイン。しかも商品名には北京語、朝鮮語の併記という、何かを大きく勘違いしたデザインは、不評を買い、ネット上には一般消費者層からの批判が溢れた。

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納豆は「NATTO -낫토-」、油揚げは「ABUR AGE」などと書かれ、写真はなし。100歩譲って中韓人優遇策としても、どう考えても、納豆の文字があるより写真があったほうがわかりやすいだろう。なんだNATTOって。北大西洋条約機構か。(ちなみにABURA AGEはエイブラ・エイジと読まれバカにされていた)

こうした批判を受け、今年2月から投入していた納豆や豆腐、食パンなど8点は、早くもデザインを再変更するという。その背景をローソン社長、竹増貞信氏が語るには…

■「店舗の声」と「ネットの声」が一致した

–なぜ変えたばかりのパッケージをリニューアルするのですか。

PB商品のパッケージは、昨年の秋から徐々に切り替えていたのですが、切り替え後の商品が増えてきた5月頃になって、ネット上で「商品名がわかりにくい」という指摘が相次ぐようになりました。新しいパッケージデザインでは、納豆は「NATTO」、豆腐は「TOFU」とローマ字で書かれているのですが、それがパッと見てわかりにくいというご指摘です。

私は頻繁に店舗を訪問しているのですが、クルーさんから「今は慣れたけれど、最初の頃はどこに並べたらいいのかわからなかった」という声をいただいていました。またお客さまからも「欲しい商品がどこにあるかわからなかった」というご意見がありました。

新しいパッケージデザインとなったPBは、売り上げも好調だったのですが、店頭でも、ネット上でも、「わかりにくい」という指摘を受けたことを重く受け止めました。その結果、7月から、納豆や豆腐、それに食パンなど8点のデザインを、あらためてリニューアルすることにしました。さらに100点以上の商品でよりわかりやすいデザインにする予定です。ご不便をおかけしたお客様、クルーさんには、しっかり変えていきますとお伝えしたいです。

「わかりにくい?」ローソン社長がPBデザイン変更をいきなり決断したワケ - ライブドアニュース
ローソンがプライベートブランド(PB)のデザインを大きく変えている。店頭に並ぶ約3500点のうち、約700点を占めるPBのイメージ刷新が狙いだ。2020年中にPB全点のデザインを変える予定だが、今年2月から投入していた

そもそもは、PB商品は、ブランドで売るものではなく、開発・流通コストをカットした自社商品を廉価で売るための商品ラインのはずが、それをブランド化しようとしたところにつまづきのもとがあったのだろう。

そしてそこに、「新進気鋭のデザイナーを起用して新機軸を」という意気込みがさらに誤った方向へ曲がった。

今回のデザイン変更の変更で、申し訳程度に写真が添えられたが、それでも売り場で並ぶとこの始末である。

「実行力のあるトップ」を求めると同時に…

こんな惨状を招く前に、どこかで「このデザインはまずいですよ」と止められる人がいなかったのか、と思うが、このデザインリニューアルは竹増社長がトップダウンでデザイナー佐藤オオキ氏を連れてきて断行したプロジェクトだったため、誰も止められなかったのだろう。

日本では、実行力のあるトップ人材を待望する声がよく聞かれるが、同時にトップを諌められる人材もいないと、悲惨なことになる。

大東亜戦争時、『史上最悪の作戦』と称されるインパール作戦も、立案者である牟田口廉也中将の「実行力」を止めることができなかったために生まれた悲劇である。

ネットの声を特別視するな

もう一つこの記事の見解で見過ごせない点がある。『「店舗の声」と「ネットの声」が一致した』という記述だ。この言い方には、「ネットの声」を、一般とは違う、一部の人間の声、とするニュアンスがある。しかし今や、日本のインターネット普及率は79.8%(2018年度 総務省調べ)に達しており、あえて「ネットの声」と区別する必要性はないだろう。ネットの声は、一般国民の声にほかならないのである。

(文・櫻木)

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コメント、ネットの反応

  1. 売る気があるのかと問いたくなるな
    何を売りたいのかわからん

  2. セブンイレブンが一番わかりやすくて大好き

  3. まぁ外国人なら、
    ・読める品名のみ
    ・読める文字がなく写真のみ
    のふたつがあったら、後者のほうが親切。

  4. でかい会社のGOサイン出す人って
    無名デザイナーの良デザインよりも
    有名デザイナーの糞デザインを選ぶからな
    名の知れたデザイナーのものはいいものだって
    アホみたいに思い込んでる

  5. これはあからさまに敬遠され始めたから慌てて戻したんだろうね。

    俺も中国語と韓国語表記の商品は一切買わなくなったからね。

  6. やる前から分からない時点でアウト
    社内の誰一人として反発しなかったのか?って話
    誰が決めたのか知らんけど、常識が分からないそいつらは金銭的な影響も考えて普通にクビにしたほうが良いよ

    • 企画したの社長さんだから
      お気に入りのデザイナーに頼んだらコンビニ商品パッケージとは無縁のデザインになった

  7. 食品が見えないようにわざと隠してる印象が最悪
    食品を見て何が食べたいか決めるから買いたい選択肢に入る余地がない
    このダブル効果で買ったことないわ

  8. よく「簡字体もハングルもあればあっただけ助かる人がいて無駄にならない嫌なら見るな」
    とか擁護するヤツがいるけど 実際問題として車内の液晶表示や駅のデジタルサイネージは
    切り替わるから 他国語表示が入るということは自国語表示の時間が短く頻度が少なくなる
    固定的な看板でも多国語表記になれば文字も小さくなるし自国語を目にする頻度も低下する
    これって大多数の日本人にとって不便だし土地勘のない旅行者や高齢者にはイヤガラセだろ
    フランス人がフランス語と同頻度で英語を話したり書いてくれるようになってから言えよな

  9. 文字でグローバル化は無理だよ写真でしか無理
    多くの外人は、食品サンプルが飾ってある食い物屋にしか入らない
    外国行ってその土地の言葉で訳のわからんメニュー出されても選べないだろ
    文字じゃわからんことぐらい分かるだろが

  10. 結局毎日の忙しい日常生活で求められているのは「識別」であって
    そのためには「違い」を明確にするのが基本中の基本なんだよな

    元来「違う」ものに意味のない統一感を与えるのは事故の元で効率も低下する
    例えば勉強や仕事のできないアスペほどノートやファイルの色を統一したがる
    そういう意味で このデザイナーも「仕事ができない」デザインオタクなんだよ

    コロナ対策でも「集・近・閉」は「違い」を強調して覚えやすかったが
    「3密」は「密」という意味のない統一感にこだわったために逆に覚えにくく
    「密閉と密…なんだっけ?」になった人が多かった 仕事の基本は「識別」

  11. 馬鹿でも出来るように簡単にするのが仕事であって、絵を廃して無地に文字のみとか現場が混乱する。
     普通は試作品を作ってから少数を現場で運用してから不具合や利点を集約して、現場目線でやるべきなのに、俺はこうしたいから世の中が合わせろって姿が透けて見える。

  12. コンビニはファミマとセブンしか行かなくなったよ。

記者プロフィール

櫻木

在野のコラムニスト。1975年生まれ。大東亜戦争の戦地の取材をライフワークとしており、台湾やインドネシアとの親交が深い。

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