台風19号「まずまず」ではない甚大な被害と八ッ場ダムの本番投入

災害
先週末の八ツ場大橋から見た上流側。かつての鉄道や国道の橋が見えていた=2019年10月11日午後0時30分、群馬県長野原町

甚大な被害 台風19号 66人死亡 47河川で決壊 全容は不明

12日から13日にかけて関東、東北を直撃した巨大な台風19号による被害が、徐々に明らかになっている。15日 15時時点でのNHK調べによると、今回の災害での死者は66人となり、堤防の決壊は、47河川の66か所に上っている。しかも、被害の全容はまだ分かっておらず、水害が収まっていない地域も多いことから、今後さらに増えることが予想される。

二階俊博「まずまず」発言

この被害に関し、自民党の二階俊博幹事長が13日、台風19号の被害について「まずまずには収まった」などと発言したことをめぐり、野党が反発するなど、波紋が広がっている。

発言の全文を見ると「予測されて、いろいろ言われていたことから比べると、まずまずには収まったという感じですけど、それでも相当の被害が広範に及んでいるわけでありますから」という文脈での発言であり、その後、記者団に真意を問われ、「日本がひっくり返るような災害に比べればという意味で、1人亡くなっても大変なこと」と説明している。

「まずまずだ」の部分だけ切り取るとひどい発言に見えるが、全文を見ると「これまで経験したことのない規模の台風」「激甚災害の恐れ」と事前に言われていた予想に比べれば、結果として被害が小さく済んだ、という素直な感想であることはわかる。

しかしそれを言って許されるのは市井の井戸端会議での発言レベルであって、要職につく政治家が公の場で発言するのは、不見識とのそしりを免れないだろう。

八ッ場ダムが完成していた

さてもう一件、今次台風で注目を浴びたのが、かの八ッ場ダムだろう。

件の悪夢の民主党政権時代に、「公共事業は税金の無駄」として、工事が一旦中止になったあの八ッ場ダムである。八ッ場ダムは、その後紆余曲折を経て工事が再開し、ちょうど先月完成し、まさに今月10月1日に試験湛水を始めていたタイミングだったのだ。数ヶ月をかけて試験、放流する計画だったところ、10月12日に台風19号が来たため、急遽本番運用を敢行し、一昼夜でダムは満水となった。これがあと1ヶ月でも遅れていたらどうなっていたことか。利根川水系の堤防決壊防止に一役買った八ッ場ダムのことと、日本中に停滞を引き起こした悪夢の民主党政権時代のことは、いつまでも忘れず後世に語り継いでいきたい。

先週末の八ツ場大橋から見た上流側。かつての鉄道や国道の橋が見えていた=2019年10月11日午後0時30分、群馬県長野原町
ほぼ一昼夜で満水近くまで水位が上昇した八ツ場ダム=2019年10月13日午後3時29分、群馬県長野原町
(文・櫻木)

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コメント、ネットの反応

  1. まずまずだな 

  2. 地味に増えつつあるな。

  3. 川に消えた人達どこ言ったの?

  4. どういう理由でこんなに死んでるの?
    土砂崩れ?川でも見に行った?
    なんであんなに騒いでたのに死ぬのか理解に苦しむ

  5. 台風で今まで経験したことが無い雨量を観測し、関東など各地の河川が氾濫してたりしてるからだろう。

    千葉では竜巻が起きていたしね。

  6. まずまずに収まったな

  7. 「風にあおられ転倒しました」はカウントするな

  8. やっぱ東京つえーわ
    警戒必要なのは地震くらいか

  9. 平成16年7月新潟・福島豪雨 死者16名
    平成16年7月福井豪雨 死者4名

    平成18年7月豪雨 死者32名

    平成20年8月末豪雨 死者3名
    平成21年7月中国・九州北部豪雨 死者31名

    平成23年7月新潟・福島豪雨 死者4名
    平成24年7月九州北部豪雨 死者30名

    平成26年8月豪雨 死者84名
    平成27年9月関東・東北豪雨 死者20名

    平成29年7月九州北部豪雨 死者40名
    平成30年7月豪雨 死者263名
    令和元年10月豪雨 死者42名以上

    最近になって確実に豪雨の犠牲者が増えているな

記者プロフィール

櫻木

在野のコラムニスト。1975年生まれ。大東亜戦争の戦地の取材をライフワークとしており、台湾やインドネシアとの親交が深い。

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